3.川崎宿~神奈川宿へ(街道地図)
神奈川県川崎市→八丁畷→市場村→鶴見→生麦→子安→神奈川宿(12km:3時間)

■ 川崎宿について ■(1999年5月22日)曇
旅の装備はデジカメ(ソニーマビカにFD2枚)とタオル1本(帰りの銭湯用)現金1万円 だけ、ビクビクしながら歩き始めた東海道を今日は初めて一人で歩きます(喜多さんは学校) 京急川崎駅を降り、まずは万札を崩すためパチンコ屋に入り遊ぶ振りして店外へ、煙草を買い松屋の牛皿定食560円 で野菜をたっぷり栄養補給、準備万端、歩き始める。川崎と言えば川崎大師と???風呂で有名だ。 週末の土曜日のためか駅前のメイン通りには人が多く。 裏通りの川崎宿はホテル・パチスロ・飲み屋が密集する歓楽街に変ってしまった。 街道には情緒というものが無い、この宿場を急ぎ足で抜けた。

■ 芭蕉句碑・八丁畷 ■約1~2km
歩いて気がついたのだが、大通りを何本も横切り、やたら信号に待たされる。 川崎は大都市なのだ。やがて通りも静かになり正面に駅らしきものが見えてきた。京急八丁畷駅である。 右手線路脇にひっそりと芭蕉の句碑があった。(俳聖松尾芭蕉は、江戸深川の庵を発ち、郷里の伊賀への帰途、川崎の茶店で門弟達と別れを惜しみ 「麦の穂を たよりにつかむ 別れかな」の句を残した) 踏み切りを渡ると道端に慰霊塔があり(江戸時代の記録から川崎宿では震災や火事、洪水、飢饉、 疫病などの災害にたびたび襲われ多くの人が亡くなられた。人々の霊を供養するために、慰霊塔が建てられた) この道が間違いなく東海道と確信した。

■ 鶴見市場・旧街道 ■約1km
しばらく行くと大好きな銭湯の風呂桶が路上に置いてあった。職人さんの手作り は素晴らしい。我々銭湯ファンのためにいつまでも頼みます。 人通りも少なく淡々と歩く、市場の商店街が見える頃には、街道らしき雰囲気が 味わえる。左には武州橘樹郡市場村一里塚(日本橋から5里目の一里塚である) の石碑があり、ここで120円のキャップ付き「力水」を購入。

■ 鶴見川を渡って鶴見駅 ■約1km
目の前に近代的な橋が見えてきた。鶴見橋だ。渡り切ったところで一服する。 川面を走る風が気持ちよい。深呼吸して、幸せ感を味わった。昔の旅人に出会えたような気がした。・・・・ 鶴見総持寺の緑青色の屋根がチラリと見える。 ここから駅までは近い。 ゆるい坂を下ると道は広くなり歩道は、よく整備されていて、とても歩きやすく 川崎と違った情緒ある街道だ。鶴見駅の所で道に迷った。大きな道を行くか、商店街(ベルロード)の中を 行こうか、結局、楽しそうな商店街を選んだ(正解だった)途中、「国道」駅を目指してオジさん、オバさんに何度も 聞いたが解らなかったので、ぜひ東海道の案内板を設置してほしい。

■ 国道駅 ■約0.5km
この商店街の突き当たりが国道15号線だった。斜め先に青いガードが見えた。あれが JR鶴見線 国道駅(国道駅の歴史は昭和の始めにさかのぼる。貨物輸送のみの鶴見線(鶴見臨港鉄道)が国鉄に買収され、 乗客を乗せたのが昭和5年、JRとなっても鶴見線が赤字のためか、ほとんど改修されず、当時の面影はそのままだ) なぜか駅の中は「暗く」古い映画に出てくるような50年前の世界だ。 全く日が射さないトンネルの中に店があるが逆に夜は良い雰囲気になるような気がした。

■ 国道15号を歩く ■約1~2km
この道は車の騒音と共にどこまでも続く、なんて長く変化が無い東海道、こんなハズじゃなかった。 のんびりと、ゆっくりと歩きたい。少し気弱になってきた。なんで歩いてるんだろう、こんな道!! (後日判ったことだが、国道駅付近から道を間違えたようだ。この15号線の一本左の道が旧東海道だった。) 古風な風呂屋を見つけ、境内に線路が走るお寺を見ながら黙々と歩く。

■ 生麦事件の跡 ■約1~2km
国道駅のガードから1つ目の青いガードが見えてきた。ここが生麦事件の場所(1862年8月21日島津久光の行列の前を横切った英国人リチャードソン ほか3名を、薩摩藩士が殺傷した事件で先頭の商人リチャードソンは死亡、婦女子 を含むイギリス商人3名が斬られた。幕府に対する賠償問題と翌年薩英戦争へと発展した。・・実際の事件現場は10町ほど離れた品川寄りだがリチャードソンが逃げてこの場所で死亡した) 道は続く、子安を過ぎて京急神奈川新町あたりで日本橋28kの表示を見た。すでに10kを歩いて いるハズである。

■ 神奈川宿歴史の道 ■約3km
この辺りから国道15号の進行方向右側の歩道を歩いたほうがいい。「神奈川宿歴史の道」名所・旧跡が 脇道に点在しているのだ。道を間違えてはいけないと国道沿いに歩いていたが、 京浜急行沿いに歩いていればOKなので一本裏の道「神奈川宿歴史の道」をお勧めする。 国道からはビルの合間に横浜のランドマークタワーが見えてきた。 やがて国道沿いに右にカーブして「宮前商店街」へ入ると旧道らしく名所跡が残っている。 京急神奈川駅は突き当たりの坂を右手に行った所だった。 ・・・午後3時30分には品川の天神湯で80円のラムネを飲んでいる幸せな男がいた。 (全行程3時間30分・1999.5/22:万歩計=18352・電車移動含)

旅人:浮浪雲
2.品川宿~川崎宿 4.神奈川宿~保土ヶ谷宿