2.白子〜千里へ
三重県鈴鹿市江島町・江島→白子→寺家→磯山→千里(8km:3時間)

■ 江島神社 ■(2001年5月2日 pm13:00〜)雨
旅人の軟弱さには理由があった。伊勢まで70kmの行程を3日で歩くと一日平均23kである。 追分から宿泊地の津までは30kを越えるため、コンディションによっては途中で切り上げる作戦その2を隠し持っていた。 ・・・この日のために一年間じっと我慢して旅人は綿密な計画を立てていたのだ。・・・ 今日は伊勢街道との接点、千里駅までとする。・・・・・・ 雨の中で遭遇する連子格子は心に余裕を与えてくれた。 街並みを200mほど歩いた信号手前左横に江島神社がある。この神社には江戸時代の奉納絵馬が数多く残っている。

■ 白子(しろこ)・白子港 ■約1km(13:20)
信号を渡って白子に入る。静かな港町には華やかな歴史があった。 (江戸時代、白子では伊勢街道一帯の有数な問屋、廻船業者、型売商人が活躍した。 中でも江戸百万人の衣類を手がけた三井(松阪)を筆頭とする伊勢商人は 完成品をこの地(白子)に集めて江戸に送り出した。 このため江戸の荷受問屋は白子・江島神社に常夜燈や絵馬を献上し航海安全を願った)

■ 伊勢参宮街道の道標 ■約500m(13:30)
街道左の公園内にある「旧河芸郡役所跡の碑」を通り過ぎ、しばらく歩いて信号付の大通りを横断した。 すぐ右手には、車に乗る人なら一度は訪れたい「くるま神社」がある。正面「真宗・唯信寺」を見て、 道なりに右に曲がると街道は突き当たった(写真中) 街道角の有名な白子参宮街道道標が左に行けと指で示して旅人に教えてくれる。 その先の小さな川を渡って寺家に入った。

■ 子安観音 ■約1km(14:00)
右奥に朱塗りの子安観音らしき建物が見えたので行ってみると、 境内には立派な銅燈籠不断桜があった。 ■子安観音= 子授・安産で有名な寺の由来は 白子浦の海中より鼓の音が聞こえたので、網を入れたところ、 鼓にのって白衣観音が現れ、堂をつくり安置したとある。■ 不断桜=年中花や葉が絶えない国天然記念物、伊勢型紙はこの桜葉が虫食った のを見て思いついたと言われる。

■ 寺家(じけ)・伊勢型紙 ■約500m(14:10)
ここ伊勢型紙の故郷、寺家は細い路地が入り組み、その角々に道標が残る。 道標頭部は型紙職人が砥石代りに使ったため削られた跡がある。 (白子型紙問屋としては、最も大きな店が寺尾家(伊勢型紙資料館)であったらしい) 川沿いを歩いて雨宿りトンネルに退避。東海道の経験からリュックの中身を点検した。 かなり湿っている。靴の中もグショグショで足マメ予感。

■ 磯山の街道 ■約2km(14:40)
国道の橋を渡ると運良く100円ショップが見えた。携帯ビニールコート2つで210円、リュックをカバーして、 やっと一安心。ショップ裏の磯山街道の景色も優しく見える。 国道と合流し中ノ川を渡ってしばらく国道23号を歩いていると珈琲ショップがあった。 時刻は14:40、チャーハンもある。迷わずチャーハン+珈琲950円。地図を見ると後20分位で千里駅に着く。 その先の伊勢街道は駅から遠いのだ。

■ 甕釜冠地蔵堂(かめかまかぶり)〜千里駅 ■約2km(15:40)
ゆっくり休んで国道と別れ、巡礼道との分岐点で甕釜冠地蔵堂(参拝者の無事を祈願して茶の接待した休憩所、屋根上に水甕が乗っている) 街道には懐かしいホーロー看板、やがて伊勢街道は千里駅にぶつかった。 今日はここ千里で歩きを止める。呼び名はセンリではなく「森高千里」である。 ・・・16:20:津に着いた旅人は駅から遠く、近くにコンビニの無いビジネスホテルを悔やんでいた。・・・ (行程3時間(計6.5時間)・2001.05/02(水):万歩計=28786)
旅人:浮浪雲
1.日永追分〜白子 3.千里〜津